kobeniの日記

仕事・育児・目に見えない大切なものなどについて考えています。

「迷走する両立支援」対談をまとめた電子書籍を出します/発刊にあたり思うこと

こんにちはkobeniです。あけましておめでとうございます。本年もこのブログをどうぞ、よろしくお願いします。今年はもう少し更新頻度を上げていきたいと思っていますので、あんまりdisらないで!できればマジメ→バカ→マジメ→ヒマなの?みたいな感じの内容で更新したく、そしてごくたまに「役に立つ」ことも書きたいと思います。



…と、いうことで2012年最初の記事は「マジメ」な内容です。去年の秋〜年明けにかけて、「ワークライフバランス・カフェ」で制作していた電子書籍が、もうすぐ公開になるのでその告知です。

経緯をすごく簡単に言うと、「twitterをきっかけに、『迷走する両立支援』という本の著者の方を招いた対談&交流会をやりました(2010年)→その内容を、無料で読めるように電子書籍を発刊します→それにあたり発刊パーティーを1/21(土)にやります」という感じでしょうか。
私が2010年に「迷走する両立支援」について書いた書評記事はこちらです
ある日、あなたが、長時間労働できなくなったら。〜「迷走する両立支援」を読みました〜 - kobeniの日記

もう少しキチンと経緯を知りたい方は、対談イベントのサイトでどうぞ
イベントのご紹介 - WLB_cafe presents 『迷走する両立支援』対談&著者と読者の交流会 〜格差と少子化の国のワークライフバランスは、いま〜


今回、「パブー」というサイトを使って、初めて電子書籍を制作しました。編集作業というか、システムにUPしていく作業はほぼ私が担当だったので、年末にその作業をしながら、対談の中身を少しだけツイートしてました。チラ見せということで、こんな感じ。(対談なので、登壇者お二人の発言が混ざっています)

※ちなみに『迷走する両立支援』本の方のチラ見せは、ここで読めます。
こころに響いた言葉たち - 『迷走する両立支援』対談&著者と読者の交流会のために


■イベントを振り返って… やっぱりあの本に救われたところがある

私が復職したのが2009年の10月で、『迷走する両立支援』を読んだのが2010年3月ごろでした。当時、復職後はじめての評価の時期で(※下がりましたねー、案の定)、心身共に弱ってたのをよく覚えてます。
2009年は、リーマンショック後で、「育休切り」なども横行していました。そういう世間の空気や、復職の直後で子供が病気を繰り返し、何度も会社を休んだり、他にも色々なことがあり、私は自分が悩み落ち込んでいるのは、すべて、「子供を持ち働くことを選択した自分のせい」と思っていた(思わされていた)ような気がします。
でも心のどこかで「それじゃあまりにも辛いじゃないか」と感じていたんでしょう。『迷走する両立支援』は、帯に「仕事に打ち込み、生活と呼べるだけの経済的基盤を持ち、子供や家族との時間を大切にする。ただこれだけの暮らしが、なぜこんなにも遠いのか」と書かれています。この本では、「自己責任」で終わらせることなく、ちゃんとミクロとマクロの両方を行き来して、問題点を解き明かしてくれていました。なによりも「愚痴すら社会のありようなんだ」と言わんばかりの、働く親たち個人に寄り添った内容。なんだかずいぶん救われた気がしました。
その後、対談イベントをやることになり、萩原さんにお会いした時、私はこの当時の気持、そして本を読んだ時の気持をそのまま萩原さんに伝えました。
対談イベントでも、この萩原さんの「徹底して現場の親たちに寄り添う視線」はもちろん貫かれていたのでした。
そのあたりも読み応えがあるので、楽しみにして頂けたらと思います。


■電子書籍化を振り返って…「世論の合意がないと変わらない」かぁ

ミクロ(個人)とマクロ(「国」とか「政治」とか…「市場」とか?)を行き来する、というところが『迷走する両立支援』の一番良い点だと思ったので、対談の相手として、「マクロ」を担当している厚生労働省の山口正行さんに来て頂いたわけです*1。それでお二人で喧々諤々やってもらったのですが、今回この書籍をまとめてみて、山口さんの
「やっぱり世論の盛り上がり・合意形成がないと、制度って変えられないんですよ」
という台詞が一番、印象に残ってるなあと思いました。
そっかこの国は、ハッキリとした「世論の合意形成」がないと、法律なり制度なりが変わっていくことはないのね。そう思ってみると頷けることは結構ある気がします。アレとかアレとか、「なんで進まないの?」って思っている事柄、きっとぜんぶ「まだ合意形成ができてないから」なんだなあ。国は、待ってるんですよ。私たちが「○○が世間の常識ですよ」って、『空気』をまとめるのを。
私はこの話を聞いて以来、「国っていうのは結局、そこに暮らしている人の意識を反映するための、ハブみたいなもの、でしかないのかな」という風に思うようになりました。…なんかその方が健全な気もするけれど、どうなんだろう。じゃあ一方でリーダーシップってなんだろう?とも思います。
まあ、ちょっと消極的かもしれないけれど、もし私たちの一ツイートが「世論」というか、他の人に影響するのだとしたら、なにか本音で一ツイートするのも全く意味がないわけではない、ということにはなりますけどね…。皆さんはどう思われますか?


■電子書籍は「無料」です/パーティーはまだ申し込めます

ちなみに、この対談イベントを主催し電子書籍を発行する「ワークライフバランス・カフェ」は、twitterで仕事&育児に関心のある人が、なんとなく集まってできた集団です。対談イベント開催のために有志で集っただけなので、なにか大義名分を掲げているわけでもないし、活動がいらない時は集まらないし、メンバーには子持ち(しかも子供ちっちゃい)・共働きが多いのでみんな忙しく、生活に負担にならないよう全員がちょっとずつ力を出して運営しています。活動のためにお金が必要ならば、必要な分だけを集めたり捻出したりします。そもそもあんまりお金がかからないよう、仕事の方で持っているそれぞれの専門技術を活かして、プロボノ的に運営している…というと、ちょっとカッコよすぎるかな。とにかくそういう、まさにtwitterそのもののような「ゆるいつながり」の集団です。けれど「仕事と育児の両立って、もっとスムーズに気持ちよくいかないのかなあ」という想いだけは、みな共通して持っています。今回の電子書籍も「こういう(対談などの)活動を一助に、みんなで考えていけたらいいよね」「変えた方がいいことは、当事者として変えていきたいよね」という想い、シンプルにそれだけを源泉に制作しました。そんなわけなので電子書籍は、無料で配布します。
ちなみに1/21のパーティーの目的は、「電子書籍ならほぼ原価ナシで制作できるけど、紙でないと読めない・読まない人もいるかもしれない。(たとえば、図書館に置いてもらいたいと思ったら、紙でないとダメでは、等)。紙=ブックレットの制作・印刷費を集めたい」ということと、単に「わーいできたよー」と騒ぎたい、ということの二つです(キリッ 参加費に寄付が含まれていますので、来て頂くだけでブックレット制作の応援になります。…というか、現時点で30名ほど参加者が決まっているので、「この人たち&著者の萩原さんや、元イクメンプロジェクトを推進していた山口正行さんに会いたい」という動機でぜんぜん構いませんので、みんなで歓談しましょう、歓談。


というわけで皆さん、電子書籍ぜひ読んでみてください。パブーという電子書籍制作サイトでつくりました。PCでも見られますし、もちろんスマホやipadなどのタブレットでも読めます。PDFもスタッフブログの方にUPするつもりです。1/21のパーティーまでに公開します。公開したら、twitterでご報告しますね。
あと、パーティーはまだまだ申し込み受付中です。よかったら。
「『迷走する両立支援』対談&著者と読者の交流会」電子出版記念&ブックレット出版祈念パーティー : ATND


※ 追記
「迷走する両立支援」著者の萩原さんから、さきほど電子書籍に書き下ろしの「あとがき」が届き、その内容がとてもステキでした。この問題について頭を悩ませている人なら、きっとみんな励まされると思います。


1/14公開しました!用語解説もついています。

http://p.booklog.jp/book/40576


迷走する両立支援―いま、子どもをもって働くということ

迷走する両立支援―いま、子どもをもって働くということ

*1:といっても、このイベントの発言は、もちろん組織ではなく個人の意見ということですが