kobeniの日記

仕事・育児・推しの尊さなどについて考えています

小山田圭吾氏いじめ記事に関する検証 その2. ネットミーム「2ちゃんねるのコピペ」が大炎上に至るまでの変遷

※90年代に出版された雑誌記事、また「2ちゃんねる」(匿名掲示板)に書かれた、いじめや暴力、差別に関する生々しい表現、被害に合われた方にとってつらい記憶を呼び起こすような内容を含みます。読まれる際は十分に、ご注意ください。

 

 

前回の記事の最後に、「小山田圭吾のいじめは、『2ちゃんねる(現・5ちゃんねる、以下2ch)のコピペ』という形のネットミームとして、一部のネットユーザーには有名だった」と書いた。今回の記事では、このネットミームがどのような変遷をたどり、2021年7月の大炎上にたどり着いたかを検証する。

 

 

まず、こちらのみうぱるさんの連続ツイートを読んでいただきたい(リンク先で、ツリーの下まで読んでみることをお勧めする)。

 

 

前回記事では、「クイック・ジャパン(以下QJ)vol.3『村上清のいじめ紀行』の全文は、今年の7月までインターネット上に存在していなかった」とも書いた。これが嘘でないと証明するのは難しい。だが少なくとも、この全22ページもある記事全文を、何の理由もなしにインターネット上にUPするというのは、著作権法の観点から考えてもあまり好ましくない行為だ。けれど、今年の7月にあえてインターネット上にUPした人たちには、「この記事の一部切り取られた部分だけ読むのと、全体を読むのとでは、読み手の印象が異なる。だから読んでほしい」という目的があったのだろう。実際そのようなメッセージ付でSNSにUPされたツイートブログ*1は、非常に多く読まれる結果となった。

 

先の連続ツイートで、みうぱるさんは「元記事の『全文』を読んで驚いた。ネットで拡散されている話とは全然違うじゃないか!(中略)事実の認識のレベルで、(私は)インターネットのコピペに騙されていたのだ」と書いている。

実は私も、7/20ごろまで、同記事の全文を読んだことがなかった(ちなみに、この炎上まで「ロッキング・オン・JAPAN(以下ROJ)」の方すら読んだことがなかった)。7/20前後は、小山田氏のことをツイートしても、対話にならない攻撃的な、あるいはファンによる動揺したリプライを受け取ることが多く、やむなくTwitterアカウントに鍵をかけるぐらい、精神的にかなり参っていた。そんなお通夜のような気分の中で(いったい何が書いてあるんだろう…)とQJの全文を読んだためか、「な、なんだこりゃ?」と、拍子抜けした、というのが正直なところだ。

もちろん小学校時代を中心に、いじめの描写はある。一方で単なるクラスメイトとの思い出のようなエピソードも含まれる。「酷いなあ」とか「浅はかだなあ」とか、「これ、私がお母さんだったら今すぐ『コラッ!そんな言い方ないでしょ!!』って叱りたいわ」等といった感想と同時に、「なるほど、この物事の見方は確かに小山田圭吾らしい」という感想を抱く箇所もあった(ただそもそも、この感想自体、私が彼の音楽をそこそこ聴いてきた前提によって成り立っている。よってQJ全文を読んでも、何も印象が変わらない、あるいは「より不快だ」という方もいるだろう。実際に読む時はご自身の体験などに照らし合わせ、注意してほしい。90年代当時、彼がなぜこのような雑誌インタビューに答えたのか、また、そもそも小山田圭吾という人の人間性とこれらの雑誌記事に、どのような結びつきがあるのかは、また別の場で丁寧な検証が必要だ)

 

なぜこのQJの「いじめ紀行」の記事は、メディアが雑誌からインターネットへと移り変わる過程で、みうぱるさん曰く「全然違う」ものになってしまったのか。

 

2ちゃんねるでコピペができるまで

1994年1月にROJ、1995年7月にQJが発行されている。2chが開設されたのは1999年5月。最初に「小山田圭吾のいじめ記事」に関するトピックが2chに登場するのは、2001年ごろだ。

以下に2ch過去ログから、01年以降の書き込み・コピペの変遷を要約し、ログが残されていたスレッドのURLも掲載する。実物を読んでご自身で判断したい方は、そちらを見てほしい。

 

2001年〜2003年

2chの「コーネリアススレ」は、何かCDなどのリリースがあった際、情報交換用に立てられている。この頃はちょうどアルバム「point」の出た時期で、ファンが平和に会話をしている。その中のトピックとしていじめ記事に触れる書き込みもあるが、「あんまりその話はしたくない」「同じ話を何度もしないで」と、嫌がられてもいる。

 

2003年、ROJ本誌からの最初のコピペ(コーネリアススレ初出)が現れる。

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コーネリアス13 five point one 5.1

 

当時は、コーネリアスの私設ファンサイトに、ROJのインタビュー全文書き起こしがあったようだ。ファンとしては善意で掲載していたのだろう。おそらくそこからコピペされてきたと思われる。

上記コピペに反応する書き込みもあるが、当時の記事に対するうろ覚えの知識で書かれていたりする。この時点でROJ発行から9年が経過していることもあり、既に「90年代の雑誌」は、誰もが簡単に入手できるものではなくなっていた。

 

2004年6月

この頃からいじめに関する書き込みが増え、だんだんとコーネリアススレは不穏な空気に包まれ始める。そして2004年6月に起きた、「埼玉蕨女子中学生いじめ自殺事件」と結び付けられ、一気に炎上する。

 

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【ウンコ食わせて】イジメ・コーネリアス小山田【バックドロップ】

 

攻撃的な内容のスレタイ(スレッドタイトル)がつけられ、複数の専用スレッドが立った。このようなまとめページも残っており、「小山田祭り」と呼ばれている。

これ以降「コーネリアス」の情報交換スレも、コピペをひたすら貼り付ける「荒らし」の標的となる。ファンがまともに会話できる状態ではない。スレを立てた人が、「荒らしはスルーでお願いします」と呼びかける書き込みもある。

 

「庇う人たちへ」のコピペ

この大炎上と同時期に、ミュージシャンの嶺川貴子(当時の小山田氏の妻)の公式HPにあったBBSも荒らされた。

 

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【音楽】小山田圭吾 率いるCornelius、ロンドンの展覧会に参加

 

2chに「妻のBBSも荒そう」と言った書き込みが残っている。

そして同スレに、「嶺川貴子のBBSに、下記のような書き込みがあった」と、コピペが貼られている。

 

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【音楽】小山田圭吾 率いるCornelius、ロンドンの展覧会に参加

 

だが嶺川貴子公式BBSの過去ログを調べると、この「ch-fi」というハンドルネームで、以前から書き込みをしていた人物のログが残っている。

 

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嶺川貴子 掲示板

 

公式BBSへの荒らしに対して、唐突に「僕」という主語で書かれた書き込みは、「本人ではないか」と2chのコーネリアス関連スレに貼り付けられ、特に証拠もないまま、同スレ上で「妻のBBSだし小山田本人らしい」と2ch上で真実扱いされていく。

 

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この「庇う人たちへ」の書き込みがあってすぐに、嶺川貴子公式のBBSは閉鎖されてしまったようだ。

 

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(※当時のmixiの嶺川貴子コミュより)

[mixi]ミネコのサイトの掲示板(RIP) - 嶺川貴子 | mixiコミュニティ

嶺川貴子公式HPの方の「庇う人たちへ」のログは現在、残っていない。そのため、本当に公式HPに書き込みされたかも、現在は確認ができない。

ちなみに、この書き込みを2021年現在まで小山田本人と信じていた人がおり、はてなの匿名ダイアリーに「2004年に謝ってほしかった」(※現在は削除、リンクは過去ログ)という記事をUPしていたが、そもそも本人であるという確証がどこにもないし、公式BBSに書き込まれた証拠も残っておらず、2chのスレを信じていただけと思われる。

 

コーネリアスのファンサイトも閉鎖に追い込まれる

この2004年の炎上は、コーネリアスのファンサイトBBSにも飛び火している。過去ログを見ると同年6月から少しずついじめに関する書き込みが現れ、10月にはこの状態。

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cornelius BBS

 

翌年にはファンサイト自体が閉鎖されてしまう。

 

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大変に良識ある管理人さんの挨拶に胸が痛む。今どのような思いでいらっしゃるだろうか

 

ついでではあるが同時期に、小沢健二のファンサイトBBSも荒らされている。ファンが情報交換できる場所がどんどん荒らされていった。

 

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oyaoza ☆ いるかBBS

 

「クソガキどもを糾弾するホームページ」

当時、「クソガキどもを糾弾するホームページ」というサイトがあり、「葵龍雄」という人物が運営していた。これは少年犯罪の犯人を、事件と共に実名入りで紹介するというサイトで、何度も閉鎖されては復活を繰り返していたらしい(2chのスレッドによると、2012年に閉鎖され、それ以後は更新がない模様)。

2004年の大炎上の最中に、管理人の葵氏の元に情報を届けた人物がいたようだ。10月に、ROJの記事抜粋が同サイトに掲載される。

 

 

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ご挨拶と中間報告

 

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コーネリアスこと小山田圭吾の悪行



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2chには続けて上記のような「QJの記述を合わせて掲載させたい」という書き込みもあるが、「クソガキ〜」のHPは基本的に上記の内容で掲載され続けていたようだ。そして今度はこの「クソガキ〜」の内容が2chにコピペされる。

 

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【いじめ】小山田圭吾不買運動【カッコ悪い】

 

2ch定型コピペの完成

小山田圭吾のコピペ、といえば、1.  2003年のROJの抜粋、2. 2004年の「クソガキ〜」からのコピペ、この二つが主たるものだ。今も2chのコーネリアス関連スレで見ることができる。つまり、約20年間これらのコピペが繰り返し貼り付けられていることになる。

またこの他に、QJから、ダウン症について語ったくだりや、ROJの同じインタビューから、中学時代の万引きのエピソードだけが抜粋されたバージョンのコピペもある。

コピペが貼られていないスレでも、小山田圭吾のいじめ=障害者にウンコを食わせた、と繰り返し書かれている。

 

お父様が亡くなったというスレにも

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【訃報】「マヒナスターズ」のボーカル、三原さと志氏死去 71歳 「Cornelius」小山田圭吾氏の父親

 

グラミー賞の候補になったというスレにも

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【音楽】米グラミー賞 「コーネリアス」の小山田圭吾作品がサラウンド・サウンド賞候補に

 

すべての年にコピペは存在しているし、いじめに関するスレッドも毎年立っている。そして、毎年30件前後だったスレッドが小山田圭吾関連スレが今年は3000件越え。

 

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2ch5ch過去ログより

https://kakolog.jp/

 

今年7月は最大の「小山田祭り」だったのだろう。

 

【朗報】小山田圭吾のいじめコピペを20年貼り続けてきた人、TOYOTAをオリンピックから撤退させ歴史を動かしてしまう!!努力は報われるんやね(なんj) - ばびろにあっ!

(※2021年の5ちゃんねるまとめ記事)

 

ちなみに前回の記事でも言及した「孤立無援のブログ」は、開設時期は不明だが小山田氏に関する記事は2006年には書かれている。前回言及した、「はるみ」がツイートした「小山田圭吾における人間の研究(7/15炎上時点)」は、1.  2003年のROJの抜粋の定型コピペと同じ箇所を引用したあと、QJの記事からいじめ描写の抜粋を続ける、という構成になっている。

 

 

2021年7月、2chコピペはどのようにTwitterに現れたか

ではこれらのコピペは今年7月、どのようにTwitter上に登場したのだろうか。

前回記事の「時系列」の最初の方と同じように、2021年7月14日21時(五輪開会式作曲担当が発表になる)〜翌7月15日正午ごろまでの個人のツイートから、小山田圭吾・いじめに関して言及しているものをいくつか抜粋する。

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概ね2つの雑誌の描写が合体している、「クソガキ〜」に言及するものも

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話題になっていたので検索したという人のソースは、「はるみ」「孤立無援のブログ」など

 

同じ内容をkobeniのアカウントでツイートもしているので、画像が小さすぎて見えない方はこちらからみてほしい

こべに🎪 Olive Vive! on Twitter: "開会式作曲担当が発表された日の個人ツイート抜粋。
ネットで、いわゆるミーム、噂がどんどん真実になっていく過程がわかる資料になってしまってます… "

 

 

「小山田圭吾は障害者にウンコを食べさせた」というのは、前回の記事を読んでもらえばわかるように、2つの雑誌の内容が混じっており、またそのどちらからも、「小山田本人が手を下した」という裏付けが取れない。QJには、食糞の記述自体が存在しない。

2chのコピペだけを見ていると、QJには、ROJに書かれていた行為について「先輩がやったのを引いて見ていた」とか、障害者である沢田くん(仮)について「もう中高ぐらいになると、いじめはしないんだけど」「僕は沢田のファンになっちゃってたから」という記述もあるのを知ることはできない。

約20年間、2ch(5ch)を通してこれだけ多くの人々が本件を話題にしてきたのに、誰も二つの原典をしっかり読み込んでいないし、その上で「この記事を放置することは社会悪だ」と、真剣に取り合って世の中に訴え出ることもなかった。

本件について、「こんなに酷いことをして、なぜ今まで何もしてこなかったのか」という批判を多く見かけたが、少なくとも2ちゃんねるにあるような、匿名ユーザーによる書き込み、そこから派生した電凸などに対して、小山田サイドがまともに取り合うのは難しかったのではないだろうか。そして2chを見ると、「クライアントに連絡してやれ」といった内容の書き込みも多数あるため、実は見えないところで、小山田氏が複数の仕事を失っていた可能性はある。

 

あるコーネリアスファンの話を挟む。

2chには「荒らしはスルー」というローカルルールがあったため、上記のようなコピペがスレの進行を妨げても、なかなか対応が難しかった。5chになってからは、コーネリアスのTwitter公式に絡むアンチの通報について情報交換したこともあったが、あまりのコピペに過疎化した。

NAVERまとめや、ガールズちゃんねるに貼られた「孤立無援のブログ」の内容を読み、「自分が以前に元の雑誌で読んだ話と随分違うな」と思い、持っていた2冊を読み返した。するとかなり偏った内容になっていたため、「やっぱりネットの書き込みは適当だな」と思っていた。本件が炎上し始めた時、「孤立無援のブログ」をソースとするツイートなどに、「その記事はソースが怪しいから、今一度確認してほしい」と訴えたりしたが、否定的な引用リツートなどが多く来たため、鍵をかけた。

 

2021年に、このような形で本件が大炎上し、小山田氏は現行のすべての仕事を失った。彼は「デザインあ」(現在は放送見合わせ)の音楽を10年間担当しているが、NHKEテレには、番組開始時の2011年と、2017年(「ガールズちゃんねる」の匿名ユーザーがNHKに連絡、いわゆる「凸」を行った)にいじめについて問い合わせがあった。その際には問い合わせの相手に対し、NHKはこのように答えている。

 

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コーネリアス(小山田圭吾)について語りたい | ガールズちゃんねる - Girls Channel -

「ご本人が反省、当時は受け入れ」小山田氏番組でNHK一問一答 - 産経ニュース

(※2011年と2017年のNHKからの回答は同じだったと、上記の産経新聞の記事でNHK側が回答している)

 

今から振り返れば、NHKに問い合わせがあった時に、例えば公式に本件について被害者・また各方面への謝罪をし、「事実でない記述」がどこだったのか、公にして釈明すればよかったのだろう。そうしていれば少なくとも、真偽が不明である不快ないじめ描写や、それに伴う苛烈なバッシングによって、二次被害的に傷つく人々がここまで多く出ることはなかった。そして彼が時間をかけて作った音楽がお蔵入りになる、ということも防げただろう。

 

各障害者団体からも、今回の件に対して声明文が出されている。

全国手をつなぐ育成会連合会」(7/18リリース)は、小山田氏のしたことの問題点を明らかにし、強く抗議を示されるとともに、五輪組織委員会に彼の登用の経緯説明を求めている。一方で開会式まで時間がないこともあり、辞任までは求めていなかった。そして「日本自閉症協会」の声明文(8/6リリース)は、二つの原典雑誌に目を通した上で、「これらの記事はいじめや差別の被害者の視点を欠いており、出版意図に関わらず、いじめや差別を助長します」としながら、一方で「この過去の特集記事を根拠に現在の小山田氏個人を叩くことを煽るネット上のブログや書きこみは、人と人との対立を助長するものであり、 それはいじめや差別と同類」「そういう事態に反応しやすい自閉スペクトラム症当事者を不安にさせます」とも述べている。

 

 

このような団体が、原典記事が出版されたその時に、あるいは2chでたびたび炎上した時に、小山田サイドや出版社に対して声明文を出してくださっていたら……と、我がままなことを思ってしまうのだが、掲載されたのが、インターネットの存在感がほぼない・未発達な時代の娯楽的音楽雑誌・またアングラ雑誌であったこと、2001年以後も「炎上」の主たる舞台が2chだったことを考えると、彼ら団体に情報が正しく届くこともなかったのかもしれない、と思う。

 

 

饒舌な「オザケンタグ」、寡黙な「小山田タグ」

 

辞任の報道があり、開会式の夜、本件に心底落ち込んだ一部のコーネリアスファンと、Zoomで軽く飲み会をした。その時に一人のファンがポツリと、「小沢さんのハッシュタグ(#ozkn)は、いつもすごく賑やかですよね」と言った(小沢健二は、1991年まで小山田圭吾と「フリッパーズ・ギター」というバンドを組んで活動していた)。

そういえば、小沢健二はTwitterInstagramを愛用していて、時にはそこそこ長い文章を流し、ファンにも「いいね」をつけたりしている。またファンも(私含め)全体的に理屈っぽい人が多いのか、わりとよく喋るし、情報交換や「みんなでアルバムを同時再生しよう」などのファン独自イベントも活発だ。

一方、小山田圭吾ハッシュタグ(#oymd)は、小沢健二と双子のようなタグ名称になっているのに、確かに過去、あまりファンの交流がされて来なかったように見えた。小山田氏本人のTwitterも、言葉少なで絵文字が多く、それはまるで「point」や「Sensous」のような近年のアルバムにおいて、歌詞よりも音・メロディそのものとストイックに向き合ってきた彼の音楽性と重なるようだ。

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Corneliusは2009年からTwitterを始めている その一部を抜粋

同じ内容をkobeniのアカウントでツイートもしているので、画像が小さすぎて見えない方はこちらからみてほしい

こべに🎪 Olive Vive! on Twitter: "ブログだと画像が小さくなるので、ツイートもして、リンクを貼ってみます。
コーネリアス公式Twitterの抜粋。… "

「もし自分が言葉をもっと発すれば、オープンSNSであるTwitterやInstagramにはまたコピペが貼られ、荒らされる。そうするとファンが確実に傷つく」彼はそう思って、あまり言葉を発して来なかったのかもしれない。ファンサイドで言うと、古参はこれまで交流の場を奪われてきたため、無理にSNSで交流しようとしないし、新しいファン(コーネリアスには若いファンも多い)も、YoutubeやYahoo!コメントなどあらゆるところに貼られたコピペを読んだことで、なんとなく小山田氏に対して心の距離を保ってしまい、ひとり音楽を聴くことはすれど、ファンの交流にまでは至らなかった……のかもしれない。もしそうだとすると、老いも若きも活発に交流する #ozknタグの住人としては、ほんとうに気の毒で仕方がない。

 

この先の更なる謝罪や、償いについて

 

「今まで何も償いをしていない」というご意見があるが、五輪の作曲担当は既に辞任し、いじめ被害者当事者に対しても「謝罪を行った」と事務所は答えている。そして謝罪文では既にファンに対しても、本件への説明と謝罪がなされているため、多くのファンはこれ以上の謝罪や償い行為は望んでないのではないか?  と思う。彼の音楽をずっと聴き続けてきた人たちは、2000年以降の彼の楽曲で、既に彼の変化を受け取ってきた*2あえて言葉にされなくても、発表された楽曲で彼の人としての成熟を感じ取り、複雑な思いはあれど今は、彼の楽曲を愛しているという方々も多くいる。当然のことだろう、当時25歳だった人間が、長い時を経て今、52歳になっているのだから。

 

現在すべての仕事を失っている彼に、さらに「外側から」何かしらの償い行為を求めるとするならばせめて、二つの雑誌の原典を入手して読み、彼のこれまでの音楽活動がどうであったか、雑誌発行時の前と後で変化はあったか、インタビューなどから読み取れる人間性はどうであったか等を評価し、真剣に向き合った上で何を彼に求めるのかを決めていただけないだろうか、と願う。そして、匿名で掲示板に「あのクズを引き摺り下ろせ」と書き込む等の方法ではなく、せめてご自身の立場を明らかにした上で、償い行為の意味・目的・役割の宣明をしていただけないだろうか。そうでなければ、本件そのものがこの世の中に対して持つ問題が正確に把握・是正されず、結局は誰のためにもならないのではないか、と私は思っている。これから先の未来に起きうるいじめや、障害者差別の抑止にも、特段役立ちはしないだろう。

 

 

彼の謝罪文にあった「事実と異なる内容も多く含まれている」という記述に関しては、彼本人や関係者にしか説明ができない。おそらく今後、その部分がどこで、なぜ「事実と異なる」ままに掲載され出版されてしまったのか、明らかにされる日が来るだろう。その時はどうか、もうこれ以上のバッシングはやめていただけないだろうか。2ch上で、悪魔的に成長したネットミームによって、本件を20年間蒸し返され罵倒され続け、それについて彼はずっと沈黙していた。関連するまとめ記事やブログに削除要請もしていないから、検索すればすぐに出てくる。過去ログも全部残っている。

もう十分に叩かれたのではないか、と思うのだ。

 

 

 

 

 

 

本件について興味を持ってくださった方は、こちらの「METAFIVE」2ndアルバム発売を求める署名にご協力ください。本件のネット炎上を原因とし、小山田圭吾氏の仕事にはキャンセルが相次いでいます。小山田氏の所属するMETAFIVEの2ndアルバムは、五輪とは無関係に既に完成していました。ですがレコード会社の意向により、発売中止が伝えられています。これ以上、社会的制裁を長引かせたくありません。

 

www.change.org

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考・関連記事】

 

 

anond.hatelabo.jp

上記は、ROJのインタビューから遡ること3年前、まだフリッパーズ・ギターとして活動していた頃、ROJのインタビューと同様に、生い立ちから振り返って語る企画が月刊カドカワにて行われ、匿名ユーザーが書き起こしをしたもの。

中には、「クイック・ジャパン」における沢田くん(仮)とみられる「K」も登場する。 少なからず小山田氏が、沢田くん(仮)に対してどのような思いで接し、眼差しを向けていたかは、こちらの記事からも読み取れると思う。

 

21.9.15追記

「週刊文春」にて、ノンフィクション作家・中原一音氏のインタビューにより、本件についての具体的な詳細が本人から語られた。謝罪文にあった「事実と異なる点」はどこのことか、また彼自身が行ってしまったいじめ行為がどこの部分だったのか?などが明らかにされている。

bunshun.jp

 

21.9.17

小山田圭吾本人から、公式に説明文が発表された。上記の文春記事の内容補足、あらためての深い謝罪に加え、記事にあった中の一部のいじめ行為を行っていた当時・それをインタビューで語った25年前にどのような認識だったか?雑誌などで露悪的に振る舞った理由や、それが間違いだったと気づき、その後は音楽とどのように向き合ったか、「デザインあ」の仕事が本人に与えた影響など、本人の言葉で詳しく説明されている(日本語・英語)。

http://www.cornelius-sound.com/index_en.html

 

 

 

 

 

*1:クイック・ジャパンvol.3号で当時のスタッフであった北尾修一さんのブログ記事。web上には存在しなかった箇所を掲載していた。現在は有料記事になっている

*2:「ファンの声」の一例として、長年コーネリアスを見てきてインタビューなども担当されている大久保祐子さんのブログ記事