kobeniの日記

仕事・育児・目に見えない大切なものなどについて考えています。

東京医大のことなど 最近のワーキングマザー雑感

先日、会社の働き方セミナーみたいなものに、ママとして呼ばれて参加しました。その時に、久しぶりに後輩ママに会って、ゆっくりランチをしました。

 

私たちは今からちょうど10年前~7年前くらいの間に、第一子を出産し、復職した者同士だったのですが、その後輩の話を聞いて「えっそんなことがあったの」と驚いたことがいくつかありました。私と彼女はまったく違う部署、遠く離れた拠点にいたので、私に相談しようとは思えなかったのでしょうが、そんな風に辛かった時に、話を聞いてあげられなかったのは残念なことだったな…と思いました。

 

具体的には、当時の彼女のキャリアにあまり関係のない、まったく新しい仕事で配属になったということ(そんなこと私以外にも起きていたんか)、そのせいなのかどうなのか、彼女にあまり仕事がなかったこと(なにそれ)、そこにいる人たちの嫉妬らしき感情を受けてチームメンバーに無視されていたこと(あるある…)、上司から「時短だけど、あなた成長する気とかあるの?」といったニュアンスのことを言われた(大変失礼)…などです。

二人でいろいろ考えて、「とはいえ最近だとこういうことは少ないのではないか、当時は今よりもっと、復職する人の扱いが、会社全体として『雑』だったのではないか」という話になりました。

たとえば、正社員だった人が復職したらざっくりアシスタント扱いになるとか、そういうことも当時は普通だったと。

彼女は今、管理職になっていて、その当時の働くママに対する過度なマイナス評価で、今も慣習になっている部分を是正すべく、部下のワーキングマザーの地位向上に努めているそうです。

 

そういえば私も、それまでと全く無関係な職種に復帰したのですが、今考えれば、その部署・新しい仕事が割と「男性社会」だったことと、その結果・その後の帰結は無関係じゃなかったのではと思います。

(もしその部署に、今は管理職の彼女のような人がいたら、私の配属は「なんかおかしいのではないか」という話になった気もするんです。そんな配属、会社から見てもリソースの無駄としか思えないし。でも、特になかったんですよね。当時よく男性の同僚に、「お前にそんな(これまでやってないような)仕事できんの?w」と笑われたりはしましたが、一方で「まあ、子どもいるんだし仕方ないよね」という扱いも受けていたような気がします--私自身は『仕方ない』なんて全く思ってなかったのですが--。一緒に怒ってくれる男性の同僚は皆無でしたし、女性でも、同じ思いで「なんとかしな」と言ってくれた先輩はひとりでした)

 

フレックス勤務やリモート勤務もだいぶメジャーになってきた今では、お母さんになって復帰する人=場所や時間に制約がある人 ぐらいの扱いに変わってきた会社も多いのではと思います。でも、私の経験上、ほんの少し昔にさかのぼるだけで、「保育園にお迎えに行く必要がある」我々は二級・三級労働者扱いをされていたのです。

…ってことは、当然、今もまだそういうところがあるのだろうと思いました。

 

 

「夕方お迎えに行かなきゃいけない」「子どもが熱を出したら休まなきゃいけない」ということ以外は、職場での能力などに大きな変化はないのに、一気に「戦力外」のような扱いをされた時の、「仕事をやる気の人」の気持ちを想像してみてほしいなと思います。

時間が短くなっただけなんですよ。主に。

 

そういう当たり前のことを、いま一度見つめてもらえたら。同僚だけでなく、仕事相手・取引先や、クライアント、発注先にそういう人がいることもあると思うんですけどね。

 

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東京医大の件を、NHKの7時のニュースが取り上げていました。かつて「部下の男性医師に管理職のポジション譲れ」と言われて、本意ではなかったがその地位を譲った女性医師(3人の子持ち)が、少し涙しながらその経験を語っていました。

医大の不正入試の件は、もはや受験生にまったく関係がなく、この「働くママは二級・三級労働者なので要らない、扱いづらい」という考え方のみ完全に直結している話です。なのでこの医大の件は私に、ここまで書いてきたような「理不尽じゃないか」という気持ちを、フラッシュバックのように思い出させる機会となってしまいました。

 

同じ扱いを受けても、「仕事しながら子育てなんて大変だから、働きやすくしてくれたんだ、うれしい」と「配慮」にとらえるお母さんもいるかもしれませんが、そうやって「思い出すだけでちょっと涙が出てきてしまう」経験になっているお母さんもいるわけです。

 

10年前よりは、なぜ「涙が出てきてしまう」になるのか、かなり分かってもらえるようになってきたのが、今ではないか。「もっと働くママに寄り添ってほしい」と言っても、「うん、正論だね」のひとことで終わりにされるか、真摯に取り組むべき遺憾な事実ととらえてもらえるかは、実は時代によって大きく変わってしまうことを痛感しています。

たとえば原理原則が法律や会社の規則に書いてあっても、社員・風土・世論などそこにいる人の受け止め方が違えば、結果はまったく変わってしまう…ということです。

 

 

最近、「育休を取ろうとしたら、『復職した時に降格させる』と会社から通達され、

そのことをおかしいと訴えて、結果的に降格はなくなった」というツイートをしているパパを見ました(良かった)。

パパがSNSでこんな活動をしていて、しかも正当性が認められているなんて、もう本当にすごいと思う2018年。2009年頃からTwitterやってて今、そう思う。

 

 

新しい風や新しい世論をつくっていってくださった皆さんに感謝すると共に、もし周囲に理不尽に涙をしている(しかけている?)お父さんお母さんがいたら、一緒に戦ってあげてほしいと切に願っています。すぐそばにいる人が、いちばん力になれます。

 

 

その場その場に「仕方なかった」といった選択があったとしても、全員が泣き寝入りすると、最終的に東京医大の件みたいな、悲惨で、情けなくて、自分の子どもたちに全く説明できないような帰結になるんだと、しみじみ思っています。